【水銀に関する法改正】排出事業者向けQ&A

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【水銀に関する法改正】排出事業者向けQ&A

※2016年3月31日執筆時点の情報です。
※その後の動向を下記コラムにて、ご紹介しております。
▼【法改正】「水銀含有ばいじん」に注意が必要な排出事業者と不要な排出事業者(2017.04.03更新)

4月に迫った水俣条約発効に伴う法改正について、排出事業者の皆さんが気になる点にQ&A形式でお答えいたします。

改正は平成28年4月1日の見込み

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以前、「水銀に関する水俣条約」水銀廃棄物の法整備へにて、お伝えした水俣条約に伴う法律改正が、今年4月に迫っていることを、皆さんご存知でしたか?

環境省発表の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の公布について(お知らせ)」によると施行日は「水俣条約が日本国について効力を生ずる日
又は平成28年4月1日のいずれか早い日」となっていますが、
各行政等に確認を取ると、4月1日となる見込みが濃厚のようです。

大雑把に「水銀が特管になる」という話自体は、耳にされている方が多いのではないでしょうか。半分正解、半分はややこしくて如何とも言い難い…といった状況です。

既に、質問等もいくつか寄せられています。今回は特に重要な部分を抜粋してご紹介します。

様々な立場を考慮するととても複雑になるので、今回は排出事業者視点に特化します。厳密に考えていくと、かなり細かな説明が必要な部分もありますが、わかりやすさを重視して説明していきます。

排出事業者向け・水銀特管化のQ&A

Q1:何が特管に該当するの?

水銀使用製品を除く、特定の施設から発生した廃水銀

以下の表に該当する施設から発生する水銀は特管の扱いになります。

水銀・特管・該当施設の表

専門的な施設は別として、多くの排出事業者がかかわるのは、四か七でしょう。

四は、ポロシメーターなどを所有していれば、まず間違いなく特管です。

また、例えば、メーカーの工場から試薬瓶入りの金属水銀が出てきた場合、製造に必要な物であれば二です。そうでなければ、研究開発部門で使用する試薬と考えるのが妥当ではないでしょうか?すると、七になります。

明らかな水銀は、特管にあたると思っておいた方が良いかもしれません。

また、四にある測定機器というのは、備え付けのポロシメーター等が想定されており、例えば、温度計等の水銀使用製品は該当しません。ただ、運搬業者や処分業者が大事をとって、特管として取り扱う場合もあります。

Q2:特管に該当するなら品目は何になるの?

基本的には、「廃水銀等」
複合物については、全国的な基準なし

基本的には、廃水銀等ということで各自治体に指示されているそうです。

ポロシメーターの様な複合物について確認してみましたが、「特に全国的な基準はない」そうで、廃水銀等のみの自治体もあれば、別個に「水銀使用機器」等の品目を設ける自治体もあるかもしれません。

ここは統一してほしいところなのですが…。

Q3:蛍光灯などの水銀が封入された製品はどういう扱いになるの?

未定

現在は明確に決まっていませんが、石綿含有廃棄物のように、特管ではないものの普通産廃のなかでも特別なカテゴリーを設けて規制をする動きがあるようです。平成28年度中に決定し、29年10月の施行を目指しているところだそうです。今しばらく様子見ですね。

Q4:今まで委託していた運搬会社や処分会社でそのまま委託できるの?

4月以降は、特管の許可を取得した運搬・処分会社にのみ委託可能

各運搬会社・処分会社が新基準に基づいて許可を取得する必要があります。もちろん4月以降は、許可業者にのみ委託可能です。

しかし!ここが一番の問題です。何が問題かというと、色々と懸念事項が多いのです。

順を追って解説します。

どこに委託すればいいの?特管水銀の新業許可について

運搬許可の特管基準はどうなってるの?

行政の許可申請の準備が整っておらず、法改正に許可の取得が間に合わない場合も・・・。

まず、運搬許可ですがこちらは特管基準がすでに決まっています。なので、その基準に基づいて廃水銀等の運搬許可を取得すれば良いのですね。とても簡単。

ですが、ここにも懸念事項はあります。

許可を出すのは当然各自治体なのですが、もちろん許可申請から実際の許可発行までには、時間がかかります。それが全く新しい許可区分ともなればなおさらです。そして、既に許可申請を受け付けている自治体、まだ準備が整っていない自治体が様々となり、足並みがそろわないことも予測されます。

上記の理由から、法は施行されていても許可が下りずに従来通りの業務が行えない「空白期間」が生じることが予想されます。

水銀運搬許可図

4月以降は、必ず許可が下りているかを確認してから委託しましょう。

処分許可の特管基準はどうなってるの?

水銀専用の特管基準策定までは、その他の廃棄物と同様の基準が適応される。
策定は、平成29年10月予定。その後、許可の再取得が必要。

そして処分です。処分に関しては、新基準がまだ確定していません。

というのは、どういうことなのでしょう?

環境省はパブリックコメントにこう答えています。

水銀・処分許可・パブリックコメント

これでも、よくわかりませんので直接確認をしました。

「新基準ではなく従来の基準で特管許可を取得した業者へ委託してください」とのこと。

さらに、疑問を感じます。

従来の基準とは何をさしているのでしょう?今まで水銀の特管基準などあったでしょうか?

色々と確認していくと、要するに、「水銀の特別な基準ではなく、特管の一般的な基準を満たしたうえで、水銀を処理できる処分場に許可を出すということ」だそうです。

そして、新基準はこれから確定し、施行予定は平成29年10月です。ということは、現在の基準で許可を取得しても、1年半後の新基準に適合するかは別問題。新基準が施行されたら、また許可を取り直す必要があるということです。

水銀運搬許可図

ともあれ、4月1日からは処分許可も特管でなければならないのは確かなので、4月以降は運搬処分共に許可の確認をしっかりと行いましょう!

さて、今回は以上です。今後2年ほどは、水銀関係の情報が色々と出てきて、バタバタとする予感がします。皆さん、しっかりと情報収集をして適切に行動しましょう。

イーバリューのホームページでも引き続き情報提供を行っていきます。

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参考引用サイト:環境省HP 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の公布について(お知らせ)」

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。