環境省発表「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)」今年も不法投棄1位は排出事業者

環境省発表「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)」今年も不法投棄1位は排出事業者

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【不法投棄】環境省発表「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)」今年も不法投棄1位は排出事業者

今回は毎年、環境省より公表されている「産業廃棄物の不法投棄等の状況」について、お伝えいたします。こちらの発表は、産業廃棄物の不法投棄等対策に係る政策形成のための基礎資料とすること等を目的としており、新たに判明した不法投棄等事案の状況、及び年度末時点の不法投棄等事案の残存量等が調査対象です。

産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)

不法投棄件数及び投棄量の推移

図2
(環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)について」より引用)
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平成26年度に新たに判明した不法投棄事案

  • 不法投棄の件数 165件 (前年度159件) [+6件]
  • 不法投棄量 2.9万トン (前年度2.9万トン) [±0万トン]

平成26年度に新たに判明した不適正処理事案

  • 不適正処理の件数 146件 (前年度159件) [-13件]
  • 不適正処理量 6.0万トン (前年度11.4万トン) [-5.4万トン]

平成26年度末における残存事案

  • 残存件数 2,583件 (前年度2,564件) [+19件]
  • 残存量 1,594.2万トン (前年度1,701.7万トン) [-107.5万トン]

廃棄物処理法の改正による規制の強化をはじめ、不法投棄等の未然防止・拡大防止のための様々な施策の実施等により、産業廃棄物の不法投棄等の新規判明事案の件数は、年々減少してきています。

ただ、5,000トン以上の大規模な不法投棄事案は1件、不適正処理事案についても2件判明し、5,000トン未満の規模のものを含めると、全体では165件の不法投棄、146件の不適正処理が判明したと発表されています。

不法投棄の実行者1位は排出事業者

不法投棄実行者の内訳(新規判明事案)

環境省不法投棄状況26年実行者の内訳 
(環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)について」より引用)
※クリックにて画像を拡大してご覧いただけます。

また、注目したいのは、不法投棄や不適正処理の実行者の内訳です。今年も排出事業者の不法投棄が最も多いという結果になりました。不法投棄に関しては、環境省HPにて閲覧可能なデータだけでも、平成11年度から26年度までの15年連続で排出事業者が不名誉な1位を獲得し続けています。

排出事業者が不法投棄をしてしまう原因の多くは、なんと”勘違い”からです。 詳しくは過去コラムの「廃棄物管理のジェネレーションギャップとは?」をご覧ください。

不法投棄には、5年以下の懲役もしくは、1000万円以下の罰金又はこの両方が科せられます。さらに、不法投棄の実行者のみならず、その個人を雇用していた法人にも罰金刑が適応されます。

不適正処理の実行者も排出事業者が1位

不適正処理実行者の内訳(新規判明事案)

環境省不適正処理状況26年実行者の内訳 

(環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)について」より引用)
※クリックにて画像を拡大してご覧いただけます。

不適正処理に関しても、排出事業者のトップが続いています。排出事業者が行った不適正処理の例としては、以下のようなものが上げられます。

兵庫県三木市の排出事業者

    • 不適正処理量:6,871 トン
    • 廃棄物の種類:建設混合廃棄物、木くず(建設系)
    • 行政処分等:行政指導
    • 支障等の状況:現時点で支障等はない
    • 支障の除去等の状況:現時点で支障等はないが、行政指導に従い廃棄物の撤去を実施中

    建設混合廃棄物等と土砂の混合物を残土と称して自社敷地に大量に野積みした事案。現在、県が事業者に対して撤去指導を行っており、事業者が廃棄物の選別と撤去作業を行っている。

こちらは、今回の「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)」内で公表されている内容です。この事案の背景に関して詳しくは明記されていませんが、社内で何の疑問もなく行っている行為が、実は法令違反だったということもあります。

思わぬ不法投棄・不適正処理を避けるために、自社の管理体制の確認をおすすめいたします。


参考・引用サイト:環境省HP:「産業廃棄物の不法投棄等の状況(平成26年度)について(お知らせ)」

Kayo Toyama 環境コンサルティング事業部 マネージャー

在学中は文学部言語表現学科に所属し、文章表現、会話表現から古典文学まで幅広く学ぶ。 現在は、“お客様の抱えている問題を解決するお手伝い”をしたい!という考えのもと、大学時代に学んだ文章表現のノウハウを生かし、自社サイトや資料等を使ったお客様への情報発信を担当。