- マニフェスト
電マニが優遇されてるなんてウソ!?導入メリットの秘密
目次
「効率・利便性」が図れる電子マニフェスト
ここ数年、電子マニフェストは一部義務化に向けて法改正の動向が注目されています。こうした状況から、様々な企業で「これを機に電子マニフェストの導入を」という動きも具体化しつつあります。
「義務化される」といっても、電子マニフェストは新しく負担が増えるようなものではありません。マニフェストに限らず、電子化というものは今までアナログで行っていたものをデータ管理することによって「効率化」が図れますので、上手く使えばとても便利になるものです。
ですから、「義務化だから仕方なく」というよりは、「これを機に便利な方法に変えるタイミングだ」と考えて対応するのも良いのではないでしょうか?
電子マニフェストのメリットは、義務化の話が出る前から、行政によりアピールされてきました。その中で、「効率・利便性」に焦点を当てたものもいくつかあります。
効率・利便性に焦点を当てた電子マニフェストのメリット
①は電子化と名の付くものすべてに適用されるメリットですが、②,③は法律上の義務が免除されるという
「優遇措置」と言われているものです。
しかし、マニフェストの歴史を紐解いてみると、「果たしてこれは優遇といっていいのか?」と首を傾げたくなる事実が見えてきます。
マニフェストの歴史から分かる!電マニ義務化についての矛盾
まずは、平成29年2月に環境省から発表された「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップに基づくマニフェスト制度の運用状況の総点検に関する報告」の冒頭を見てみましょう。
内容としては、マニフェスト制度の歴史を大まかにまとめた文章になっています。ここで赤字の部分を簡単な年表にしてみます。
なにか違和感を覚えませんでしょうか?
そうです。先ほど電マニを使用すると免除されると紹介した「マニフェスト報告義務」と「マニフェスト保存義務」は、電子マニフェスト制度よりもずっと後にできた規制ということが分かります。
ところが、「電マニを使用すると、マニフェストの行政への報告と保存義務がなくなる」というのは、行政や業界団体等の資料では「免除」という言い方をされています。
しかし、普通「免除」と聞くと、「もともとあったものが不要になる」イメージだと思います。ですので、このマニフェスト制度制定の流れから言える正しいことは、「紙マニフェストだけ、あとから規制強化を繰り返している」ということなのです。
行政への報告と保存義務がなくなるから電子化しよう!というのは、「魅力を感じて」というよりも、「仕方なく渋々と」というイメージの方がしっくりきます。
だからと言って、電マニ導入のメリットがなくなるわけじゃない
ここまでの内容を読んで、皆様はどう感じますでしょうか?
「優遇なんて嘘だったんだ!だったら電マニは使用しない!」と思われますでしょうか?
私は、経緯はどうあれ電子化をした方がよいと考えています。前述の内容はあくまで順序の話であって、今現在の紙マニフェストと電子マニフェストの利便性や規制状況を比較すると、相対的に電子マニフェストの方に多くのメリットがあると言えるからです。
▼ 紙マニフェストとの比較(業務効率化)
▼ 紙マニフェストとの比較(工程数)
紙マニフェストへの規制は、今後さらに厳しくなることはあっても、緩和されることは無いと考えます。法改正というわかりやすい形をとらなくとも、各行政が取り締まりを強化する動きがあります。
▶取り締まり強化の詳細はこちらをご覧ください。
廃掃法改正、隠れた“厳格化”の動き
さらに、電子マニフェストの一部義務化は今回の改正だけで終わらず、段階的にその対象が拡大されていくと思われます。つまりは、早いうちに電子化をしておいた方が安心ということですね。
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。