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【電マニ一部義務化】気になる3つの検討事項まとめ【対象先は?免除されるケースは?】
目次
廃棄物処理法改正におけるパブリックコメントが開始
かねてより進められてきた産業廃棄物処理法の改正。法令が公布されてから長らく動きがありませんでしたが、先日「政令案」のパブリックコメントが開始されました。
法令で曖昧だった部分は、政令(施行令)、省令(施行規則)でより具体化されるので、具体的な案に一歩踏み込んできたことになります。(法令、施行規則、施行令の違いは「複雑な法体系。廃掃法、施行規則、施行令、条例、通知…どう違うの?」にて解説しています。)
今回のコラムでは、環境省が発表しているパブリックコメントの概要資料に書かれた内容を元に、主に電子マニフェスト関連の見込み事項をピックアップしていきます。
電子マニフェスト義務化の対象先は特管50tの見込み
まずは前々から注目されている電子マニフェスト使用義務化対象先に関してです。
資料には、義務化の対象は「特別管理産業廃棄物の多量排出事業者のうち、前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50t以上(PCB廃棄物は50tの中に含めない)の事業場を設置する者を対象とする。」と書かれています。
▼ 電子マニフェスト義務化の対象者
引用: 環境省:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に対する意見の募集について 資料
例外的に紙マニフェスト使用が認められる3つのケース
さらに、「電子マニフェストの登録が困難な場合」として、例外的に紙マニフェストの使用が認められる条件も挙げられています。
1つ目は、停電やJWNETのサーバーダウン等、技術的に難しい場合です。これは緊急時なので、応急措置として紙マニフェストを使用してもOKとのことです。
但し、電子マニフェストは引き渡しから、登録まで3日間の猶予期間が設けられています。3日以上停電や回線トラブルが続くことはあまり考えられませんので、実質的にあってないような規定だと個人的には思います。
もし3日以上、停電、回線トラブルが続くような災害が起こったのだとすれば、それはもう廃棄物の引き渡しどころではない状況にあるように考えられます。
2つ目は、近くに電子マニフェストの対応をしている業者がいない場合です。
しかし、「離島内等」という例示を見ると、本当に限定的なケースを想定しているように思えます。どういう条件が整った際に「困難な場合」と認められるのか、現段階では具体的には分りません。
多少運搬費が高いくらいであれば、遠方の処理会社に委託する必要が出てくるのかもしれません。現在の取引先が対応していないからと言って、簡単に免除されることはないと思っておいた方が現実的だと思われます。
3つ目は、排出事業者が電子マニフェストを使用することができない場合です。
ただし、「常勤職員が全員65歳以上、かつインターネット回線が確立していない場合」とのことですから、特管50t以上の排出事業者の中では、ほとんど当てはまることはないと思います。
結局、義務化の対象に該当したら、すべてのマニフェストを電子マニフェスト化する心構えでいた方が良いと思います。
朗報!3日ルールが緩和される見込み
改正というと、多くは新しい規制の追加なので、何かと身構えがちですが、排出事業者の皆さまには、朗報もあります。
3日ルールと呼ばれる、電子マニフェストの登録は3日以内に行わなければならないというルールが若干緩和される見込みがあることです。
今までは、土日祝日や年末年始などを考慮していない「3日」でしたので、スケジュール的にかなり厳しい……というお声をよくお聞きしました。
しかし、今回の改正では、土日祝日を含めないと記載されています。さらに、政令案本文には12月29日~翌年1月3日までの年末年始も同様に3日にはカウントしないとの記載があります。
3日ルール緩和の施行予定日は、平成31年4月1日です。(電子マニフェスト義務化は平成32年4月1日)
まだ少し先の話ですが、緩和の動きが見えるだけでも気の持ちようが違います。
パブリックコメントを活用してみませんか?
パブリックコメントは、改正案に関する意見や疑問点等を誰でも提出することができます。今回のパブリックコメントは、12月13日まで受け付けていますので、まだ間に合います。
私、佐藤はすでに3件提出しました。
廃棄物処理法の改正は、排出事業者様の業務に大きく影響を及ぼしていくと考えられます。皆さまも、気になることがあれば、この機会に直接疑問を投げかけてみてはいかがでしょうか?
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。