- ケーススタディ
- その他
少量の不法投棄でも検挙されやすくなった理由
誰が見ているか分からない…簡単に通報できる時代
突然ですがみなさま、こんなアプリをご存知でしょうか?
「ちばレポ(ちば市民協働レポート)」
市内において、市民が発見した地域の課題を、レポートとしてアップロードするアプリです。
このアプリ、課題のカテゴリには「ごみ」もあり、実際のレポートを見てみると、不法投棄現場や路上でのごみ散乱等といった内容が確認できます。こうしたIT技術を利用しての市民情報提供活動は、ちばレポが先駆けといわれています。
現在では、宇部市の「ネイティブ宇部」や、民間で開発されたアプリを自治体が契約して利用している例もあります。
近年、少量の不法投棄や不法焼却でも検挙される事例が増えて来ています。
その背景には、ほとんどの人がカメラ付きのスマホや携帯電話を持ち歩いている環境が関わっているのかもしれません。
誰でもすぐに証拠を撮影し、通報できる時代なのです。
実際にあった!市民の通報から廃掃法違反で検挙
実際に、市民の通報から発覚した事件が多くあります。
例えば、栃木県であったこちらの事件。
小規模な違反でも、苦情によって発覚
・2016年2月19日、喜連川消防署の男性副署長が廃棄物処理法違反の疑いで書類送検された。
・副署長は自身の田んぼで、伐採した木の枝など約32.5キロを燃やした疑い。
・消防署によると、苦情の電話が署にあり、消防車1台で出動したが、火は既に消し止められていた。
小規模の違法行為でも、市民の通報によって行政が動き出したケースです。
行政職員のパトロールだけでは発見しきれなかった小さな違法行為も、市民の目によってカバーされています。
一方で、大規模な違反行為でも、市民の通報は重要なきっかけとなります。
福岡県の飯塚市であった事件です。
飯塚産廃不法投棄事件
・2001年8月に処分場周辺で汚染水流出が発覚。
・同処分場は安定5品目しか処分が認められていないにも関わらず、周辺から基準値を超える有害物質が検出された。
・2013年10月16日に福岡県は行政代執行をする方針を表明。
この事件は、処分場から悪臭が発生したり、真っ黒の汚水が大量に直下の河川に排出されたところを周辺住民が保健所に通報したのがきっかけで、行政が動き出した事件になります。
このように、今後も行政が直接発見するのではなく、「市民が発見→通報」という流れで事件発覚に至るケースが増えていくと考えられます。
行政は市民の力を借りてキャッチアップすることで、より迅速な対応ができるので、大規模な事件に発展する前段階で阻止されるケースも増えていくと思います。
もちろん、廃棄物を出す側には、より適切な廃棄物の取り扱いが求められます。
このくらいなら大丈夫だろう…という意識ではなく、必ず誰かが見ていると考えて、適切な管理だと胸を張って言えるようにしたいですね。
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。