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【電子マニフェスト義務化】スムーズに対応するには?3つの課題とその解決法
2017年3月に閣議決定され、国会へ提出される「廃棄物処理法改正案」。そのなかでも、報道で大きく取り上げられるのは、「電子マニフェストの一部義務化」です。(追記:2017年10月に施行されました)
現在、義務の対象については、具体的に決まっていません。
しかし、これまでの「廃棄物処理制度専門委員会報告書」には、「より適切な管理が求められる一定規模以上の特別管理産業廃棄物を排出する事業者」という表記があります。よって、「特別管理産業廃棄物」を「一定規模以上(多量?)」に排出する先が対象となる可能性が高そうです。
さて、現在、紙マニフェストを発行している企業の方々は、自社が義務化の対象となった場合、スムーズに電子マニフェストへの対応が可能でしょうか?
電子マニフェスト導入における3つの課題とその解決法
電子マニフェストの一部義務化の流れはほぼ確実です。ただ、導入に課題があり、電子マニフェストを導入していない事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私は、そうした課題のほとんどは適切な対策を講じることで解消できると思っています。(電子マニフェストが義務化されると、その課題の解消も必然的に義務になります)
よくある3つの課題とその解消法を紹介しますので、今後の参考にしていただきたいと思います。義務化対象でない場合でも、リスクや業務効率の面を考えると電子マニフェストを導入することがおすすめです。この機会に是非ご検討下さい。
課題1:委託先が対応していない
最もよくお伺いする課題です。
処理業者が電子マニフェスト未対応なのに、排出事業者である自社だけ義務化されたらどうすればよいのでしょうか?処理業者を説得して導入してもらう?対応可能な業者に切り替える?
実は……法律上はどちらも必要ありません。
法案上、電子マニフェストの使用に関してこのような表記があります。
運搬受託者及び処分受託者(その使用に係る入出力装置が情報処理センターの使用に係る電子計算機と電気通信回線で接続されている者に限る。)
要約すると
運搬受託者及び処分受託者(電子マニフェスト対応業者に限る)
となります。
法律上での、委託先は電子マニフェスト対応業者に限定されているので、委託先が未対応ならば、義務化対象外ということのようです。それならば、対応先のみ電子化すれば良いということですね。
しかし、管理を徹底するための義務化で、「相手が対応できないならいいよ」としてしまっては、現状で管理を徹底できていない先を放置することになる気がするのですが、いいのでしょうか??
個人的には、義務化されるほどのシステムなので、委託先にも対応を求め、どうしても対応する能力がない場合には、委託先として適切か?という疑問をもった方が良いと思います。
課題2:3日ルールに対応できない
電子マニフェストには3日以内に本登録しなければならないという「3日ルール」があります。このルールについて、連休の際などは違反になってしまうと考え、電子マニフェスト導入のハードルになっている場合があります。
そうはいっても、原則当日入力にして手順をしっかり浸透させていれば、3日ルールがどうしても守れないということは稀です。今は、民間のシステムと連携すれば、スマホの登録も可能です。工夫次第で十分に対応できます。
あとは、あまり大々的には言えませんが、3日ルールと今回の義務化の”重さ”を比較すると良いと思います。
3日ルールは、実はそこまで厳格ではないという解説を以前にしています。
課題3:特殊なマニフェスト処理をしている
例えば……
・有価物にも管理のためにマニフェストを発行しているので、電子マニフェストで自動的に行政報告されてしまうと困る。
・複数品目が混ざった廃棄物なので、紙マニフェストで複数品目チェックをしている。
こうした課題によって、電子マニフェストの使用を避けているケースもあります。電子マニフェストで対応できるような一般的な内容ばかりでないから、自由度が高い紙マニフェストでやっている、という声は未だに多いです。
しかし、上記の課題は電子マニフェストでも全て解消できます。
裏技……ではありませんが、機能を熟知していれば対応可能です。今回のコラムでは解説を省きますが、電マニで対応できる方法はちゃんとあります。
弊社のコンサルティングで電子マニフェストの導入を行った事例では、まず課題をお伺いします。そして、応用機能を活用して現在の実務に負荷をかけずに対応する手順を作っていきます。
このように、電子マニフェストの導入は決して難しくありません。今のうちに導入を進めて、スムーズに法改正に対応できるようにしましょう!
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。