【廃掃法】自治体によって異なる法解釈!排出事業者は誰?

【廃掃法】自治体によって異なる法解釈!排出事業者は誰?

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【廃掃法】自治体によって異なる法解釈!排出事業者は誰?

法律の曖昧な部分をどう解釈するかを迷ったことのある方が多いのではないでしょうか?
特に廃掃法は総合判断説を始めとして、特に解釈が難しい内容が多くあります。

今回は、以前セミナーで紹介した内容を元に、「いかに解釈が分かれるか?」について言及します。

この場合、どう判断する?

梱包品を外して客先に納入した場合に発生する廃棄物の取扱の判断

事業場:甲から鉄製品を出荷する際に、鉄製品を巻紙し、運搬業者:乙社の倉庫を経由し、
 客先:丁社への納入時に、巻紙を外して鉄製品のみを引き渡す。

商社:丙社への売切り品であった場合、鉄製品の所有権が運搬業者:乙社の倉庫に入った
 時点で、事業場:甲から商社:丙社に一度移転する。

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上記のような場合、商社に所有権が移転した後に発生し、防錆油が少量付着した廃紙巻を、関連する甲乙丙丁4社のうち、どこが処分すべきだと思いますか?

セミナーでは皆さんに挙手していただいたりしているのですが、絶対に意見が分かれます。
そして、行政によっても分かれます。

実際の行政の判断をご紹介します。
これは、色々な行政に同じテーマでヒアリングを行った結果です。

愛知県:所有権を持っているか否かに関係なく、運送会社排出となる

大阪府:原則、メーカーに処理責任があるとしている。

福岡県:梱包材を含めて鉄製品を購入した企業が排出事業者となる。

自治体が違うだけで責任の所在が全く変わってしまうという困った事例です

補足ですが、上記の全ての行政が、「事前に契約内容などで責任の所在を取り決めておけば、その企業は排出責任を負うことができる」という見解を示しています。

自己判断はキケン?

さて、この事例から学ぶのは「行政でもこれだけ判断が割れるのだから、自己判断で行動するのは危険」ということです。

今回の3行政以外の見解は聞いてみるまでわかりません。
自分で「こうだろう」と判断したものが、行政の判断でNOになることがあるのです。

少しでも疑問を感じたら、根気よく行政に確認を取るが近道かもしれません
その際には、いつ、誰に確認を取ったのかを控えておくことも大切です。

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。