5つの特例制度で免除される許可証・契約書・マニフェストのまとめ

5つの特例制度で免除される許可証・契約書・マニフェストのまとめ

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5つの特例制度で免除される許可証・契約書・マニフェストのまとめ

廃棄物を排出する際には、許可業者に委託契約を書面で交わし、排出時にマニフェストを発行する必要があります。これは大前提です。

一方で、条件が整えば特例的にこれらの義務が免除される場合があります。専ら物の委託や、広域認定制度を利用した委託などがそれに該当します。これらの制度は上手く利用すれば効率的に委託が出来る可能性があります。

しかし、誤った解釈による間違いも多く起こります。その多くが、免除されていないことまでしなくてもよいと勘違いしてしまうことです。こうした勘違いは、本来求められている義務がすっぽりと抜け漏れてしまうことになるので、大変危険です。

今回は誤解しやすい特例について、何が必要で何が免除されるのかを排出事業者目線でお伝えいたします。

専ら物には誤解も多い

「専ら物だから、契約書はないよ」という声は未だにちらほら聞こえます。専ら物には委託契約が必要です!詳細は
誤解が招く法律違反【専ら物】からご覧いただけます。

専ら物に限らず、各種特例制度は正しく理解しておかないと、違法状態を誘発することにもなりかねません。

排出事業者目線から特例制度を解説

その他の特例はどうでしょうか?主な制度を排出事業者の視点から、免除されるものとされないものをご紹介いたします。

まずは、一覧にまとめたものをご覧いただきましょう。

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続いて、各制度を詳しく解説していきます。

再生利用認定制度

再生利用認定制度とは、環境省が定める対象廃棄物を生活環境の保全上支障なく再生利用できる者が受けることができる認定です。

この認定を受けた者は、対象の廃棄物を処理する場合に限り、産業廃棄物処分業及び処理施設の設置許可が不要となります。また、マニフェストの発行も免除されますが、その他の委託基準は順守しなければならない為、委託契約書の締結は必要となります。

広域認定制度

広域認定制度とは、メーカーが販売した製品が廃棄物になった場合に「拡大生産者責任」の考え方から、メーカーが主導となってその製品の処理を広域的に行う制度です。効率的な再生利用を促進するとともに、処理工程から再生又は処理が容易な製品設計への反映を進めることで適正処理の確保を目的としています。

対象は、原則として認定されたメーカーが製造した製品が廃棄物となったものに限られます。また、必ずしもメーカー自身が回収及び処分を行う必要はありません。メーカーが委託し、一連の処理の工程を管理する体制と、受託者がその能力を有すると認められる場合には、メーカー主導の下、委託を行う一連のスキームが認定されます。

この制度も、許可証とマニフェストの発行が不要となります。

無害化処理認定制度

無害化処理認定制度とは、有害性のある廃棄物を無害化する高度な技術を有する者が、基準に適合していることを環境大臣から認定を受けることができる制度です。対象となる廃棄物は主に、石綿を含む廃棄物とPCB廃棄物の中でも低濃度のものです。

この制度では産業廃棄物処分業及び処理施設の設置許可が不要となります。前述した2つの制度と違い、マニフェストの発行までは免除されないことに注意が必要です。

廃棄物再生事業者登録制度

廃棄物再生事業者登録制度とは、廃棄物の再生を業として営んでいる者が基準に適合している場合、都道府県知事の登録を受けることができる制度です。再生事業者が登録を受けたことをアピールし、優良な事業者の育成を図ることを目的としています。

再生利用認定制度と混同し、マニフェストの発行が免除されるという誤解も多いですが、この制度は単純に登録することのみを定めており、免除規定などはありません。注意してください。

食品リサイクル法における登録再生利用事業者制度

食品リサイクル法で定められた要件を満たした場合に、国から登録を受けられる制度です。

登録を受けた場合には廃棄物処理法上の特例も設けられており、荷卸し地における一般廃棄物の運搬業許可が不要になります(荷積み地は必要)。特例は一般廃棄物のみなので、産業廃棄物を委託する場合、通常の委託と全く同じ手順を踏まなければなりません。

食品廃棄物横流しを行ったとされる、ダイコーはこの登録を受けていたと報道されています。筆者は色々な事業者から本制度についての問い合わせを受けましたが、産業廃棄物に関しても、許可やマニフェスト発行の免除があると誤解している方も少なからずいらっしゃいました。

小型家電リサイクル法における再資源化事業者認定制度

小型家電リサイクル法で定められた要件を満たした場合に、国の認定を受けられる制度です。

小型家電に関して再資源化に必要な行為を行う場合に、産業廃棄物処分業の許可が不要となります。認定を受けた事業者へ委託する場合でも、契約書やマニフェストの発行は免除されません

何が免除されるのか?に着目すべし

こうして列挙するとお分かりいただけるように、当たり前ですが、それぞれの制度によって免除される内容はバラバラです。特に「再生利用認定制度」「廃棄物再生事業者登録制度」「食品リサイクル法における登録再生利用事業者制度」のように名前が似通っている物は注意が必要です。全く免除規定が無い制度を、免除規定があるかのように取り違えることのないようにしましょう。

また、どの制度も産業廃棄物を委託する以上、委託基準が適用されることを肝に銘じてください。契約書の締結は必須になります。

『何かが免除になる』と思った時には、安易に行動に移さず『これで間違っていたら違法』と考え、しっかりと裏付けを持って、特例を使うことにしましょう。

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。