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逆有償とは?金属相場の値下がりと逆有償の罠
値下がりによる単発の逆有償でも、収集運搬の委託契約を
最近、色々な企業の担当者から「金属相場がかなり下がっていて参ってるよ」といったことをお聞きします。
「大変ですねー」と言いつつ、私はいつもこう続けます。
「金属と言えども、相場が下がると運賃がカバーできずに逆有償になってしまう可能性もありますからね。そうすると、今までなかった委託契約義務が発生して、管理部門としては大変ですよね」
こう言うと、3分の1くらいの方は、「うんうん。そうなんだよねー」と頷いてくださるのですが、残りの方は驚かれます。
最初はチョットした違和感だったのですが、予想以上に多くの方が、勘違いをされている事実がわかってきましたので、これを期に再度注意喚起をさせていただきます。
専ら物には、委託契約が必須
まず、驚かれる方は皆さん口をそろえて「金属は専ら物だからそのままでいいんじゃないの?」と話されます。
いいえ。そのままではダメです!
確かに金属は専ら4品目の対象物ですが、だからと言って有価物と同じように扱って良いわけではありません。
この辺りは、以前にも誤解が招く法律違反【専ら物】で解説しましたので、そちらもご覧ください。特に注意しなければならないのは、有価物に必要なく、専ら物に必要なものとして、委託契約があるということです。なので、相場の変動により有価買取が不可能になった時点で、委託契約を結んでいないと違法になってしまいます。
ポイント:専ら物の逆有償には、”産業廃棄物収集運搬契約の締結”が必要
行政への聞き取り「廃棄物の処理委託と同様に考えるべき」
「運賃が必要になるのは今回だけで、いつもは有価でやれているし、平均的に買取できている物だけど、ダメなの?」という疑問もおありかと思います。これも認められないと考えた方が無難です。
以前、とある行政に同様の聞き取り調査をしたことがあります。(その時は金属ではなく、プラでした)
結果は「廃棄物は1回でも委託をすれば委託基準が適用されるので、相場の変動によるものでも、通常の廃棄物の処理委託と同様に考えるべき」との回答でした。
全ての行政に共通するという保証はありませんが、恐らく概ね同様の見解が多いのではないでしょうか?
皆さん。相場が下がっている今こそ気を付けてください。
皆さんが気を付けるのはもちろんのこと、現場では廃掃法の知識や相場感もなく、いつも通りになんの疑問も持たずに排出作業をしている可能性があります。
一度、自社の有価物の状況を確認した方が良いかもしれません。
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。