- 法改正
微量PCBの取扱いで事業者に求められる6つの事項
※2015年10月28日執筆時点の情報です。
※その後の動向を下記コラムにて、ご紹介しております。
▼【PCB特措法改正情報】改正予定の2つのポイント(2016.04.4更新)
今回は微量PCB廃棄物についての解説に加えて、所有する事業者が行うべきことをご紹介いたします。
目次
そもそもPCB(ポリ塩化ビフェニル)とは?
PCB(Poly Chlorinated Biphenyl<ポリ塩化ビフェニル>)とは、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称をいいます。かつては、電気機器をはじめとする幅広い用途に使用されていましたが、現在はその毒性からPCBを使用した製品の製造は禁止されています。
禁止以降に製造された電気機器の中にも、微量のPCBに汚染されているものがあることが判明し、新たな問題となっています。
微量PCBとは?
PCBについては昭和47年から新たな製造がなくなりましたが、PCBを使用していないとする電気機器等に、数mg~数十kgのPCBに汚染された絶縁油を含むものが存在することが分かっています。それが、PCB使用禁止以降も製造され、非意図的にPCBが混入された「微量PCB汚染廃電気機器等」です。
微量PCB汚染廃電気機器等も「PCB廃棄物の適切な処理の推進に関する特別措置法」の第8条に基づき、都道府県又は政令指定都市に保管状況等を届け出る必要があります。
事業者に求められていること
①保管及び処分の状況の届出義務
PCB廃棄物を保管している事業者は、毎年度、6月30日までに、PCB廃棄物の保管及び処分の状況に関して、都道府県知事に保管状況を届ける必要があります。
➡ 届出を行わなかった・虚偽の届け出をした場合、6ヶ月以下の懲役または50万以下の罰金に処されます。
②期間内の処分
事業者は平成39年3月31日までに、PCB廃棄物を自ら処分するか、もしくは処分を他人に委託しなければなりません。期間内の処分を違反した場合、行政は改善命令をすることが可能になります。
➡ この改善命令に違反すると、3年以下の懲役もしくは1000万以下の罰金、または併科されます。
③譲り渡し及び譲り受けの制限
PCB廃棄物は譲り渡すこと、または譲り受けることが禁止されています。
適切に処理するまでは、事業者が保管する義務があります。
※合併等を行った場合にも、事業者の地位を継承した側が届出をしなければなりません。
➡ 違反すると、3年以下の懲役もしくは1000万以下の罰金、または併科されます。
④特別管理産業廃棄物管理責任者の設置
事業所ごとに、廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物管理責任者」を置かなければなりません。
➡ 違反すると、30万以下の罰金に処されます。
⑤適正な保管
PCB廃棄物の保管は、廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物保管基準」に従う必要があります。
➡ 基準に適合しなかった場合、行政は改善命令をすることが可能になります。
この改善命令に違反すると、3年以下の懲役もしくは300万以下の罰金、または併科されます。
⑥事業場変更届の提出
保管している事業場を変更した場合は、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管事業場の変更届書」を提出しなければなりません。
➡ 違反すると、届出を行わなかった場合または、虚偽の届出をした場合は、
6ヶ月以下の懲役または、50万円以下の罰金に処せられます。
PCB廃棄物の保管方法
「特別管理産業廃棄物保管基準」及び保管例は以下の通りです。
●特別管理産業廃棄物保管基準
●保管場所掲示例
●機器本体・保管容器への表示例
PCB廃棄物を適正に管理し処分するために
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- そもそも自社にある電気機器(トランス、コンデンサ等)がPCBを含有しているかどうか、分析等で確認し、PCBを含有していた場合、以下のことをしましょう。
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- ①管轄する行政へ届出を行う。
- ②その上で、保管基準に従って処分するまで適切に管理する。
処理期限は平成39年3月31日までと、一見、まだ余裕があると思われるかもしれませんが、処理が困難な廃棄物であるため、取扱可能な施設が限られており、期日が迫れば混雑する可能性があります。
いざ、処分を検討する時には、時間を要したり処理条件が変わったりすることも考えられます。
また、処理費用も一般的な廃棄物と異なり高額なため、早めの予算等の把握をお勧めします。
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Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。