工事発注者が気をつけるべき3つのポイント

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工事発注者が気をつけるべき3つのポイント

“廃棄物処理法の法解釈と行政判断事例セミナー”にて、参加者の皆様から反応が多かった情報を詳細にまとめていきたいと思います。

今回は、「自社の設備を工事してもらう際に、気を付けること」です。

工事発注者の廃棄物への責任

工場は、設備更新やメンテナンス等で案外頻繁に工事が行われます。
その際に、工事を発注し、やり取りを行うのは、必ずしも廃棄物知識がある方とは限らないのではないでしょうか?

廃棄物担当者は、自社のPCB保管状況を把握し届出をしていたのに、いつの間にか全く関係のない部署が行った工事が原因で行方不明になった…なんて事例もあります。

こんなことが起こらない為に、自社で工事が行われる際には、工事の発注者として廃棄物に関する責任を考えなければいけません。

しかし、現実は『元請責任』などという言葉が独り歩きしてしまい、ともすれば「全部元請の責任でやるべきでしょ?」なんていう意識になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

元請責任に関しては過去のコラムをご参照ください。
⇒【元請責任】工事現場の廃棄物は誰の責任?

工事発注者が気をつけるべき3つのポイント

そこで、下記の通知をもう一度見直してみましょう。

建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)

建設工事に関する廃棄物の適正処理を推進するために、様々なことが書かれています。
ここで、排出事業者(建設業者)を元請とすることも明記されているのですが、発注者の責任に関してもしっかりと言及されています。

色々と難しく書かれていますが、重要な部分をごく簡単にまとめると発注者が注意しなければならないのは下記の3点です。

  • 工事以外の廃棄物を混ぜ込まない
  • 適切な情報提供及び指示を行い、適正料金を加味した工事委託費を支払う
  • 処分が適正に行われていることを確認する

それでは、具体的にどのようなことを意味するのか、それぞれ見ていきましょう。

✔ 工事以外の廃棄物を混ぜ込まない

本文中では『建設工事を行う以前からの廃棄物(例えば、解体予定建築物中に残置された家具 等の廃棄物)を適正に処理すること。』と書かれています。

例えば、事務所を解体する際に、解体しなくとも運び出せる机やロッカー等を残したまま、解体してしまい、全てをまぜこぜにして元請業者に処分させることはNGです。これは、適正処理・再生利用を推進する観点からです。

解体廃棄物として、混ざってしまったものを再度分別して適正処理を行うのはなかなか難しい場合が多いです。事前に分けられるものは、確実に分けておきましょう。

✔ 適切な情報提供及び指示を行い、適正料金を加味した工事委託費を支払う

本文中では、『処理方法や処分場所、再生処理施設に搬入する条件』等を設計図書に明示するよう求めています。
そのためには当然、適正処理に必要な情報を提供した上での指示と、それを考慮した委託料金が必要です。

「アスベスト含有建材であることを隠して解体させ、元請業者の責任にする」等ということは言語道断です。

アスベストが含まれていれば、分別や適正処理行うよう指示をしなければなりません。
その分、処理費用が高くなるので、工事委託費にはそれを実現するに十分な費用を含める必要があります。

✔ 処分が適正に行われていることを確認する

本文中では、『工事中は建設廃棄物の処理が適正に行われているか注意を払うこと』『工事が終わった時は元請業者に報告させ、建設廃棄物が適正に処理されたことを確認する。』等が書かれています。

工事業者と処理業者間の委託契約書やマニフェストの写しを提出してもらうなどして、「処理状況をしっかりと把握していた」という証拠を残せるような方法を取ることが望ましいですね。

 

このように「元請責任」と言いつつも、決して全てを押し付けて良いということはなく、そもそもの発注者も大きな責任を負っている事がわかります。

皆さんの会社ではどうでしょうか?

この辺りは、廃棄物担当者以外の方が行っていることも多いですので、他部署への廃棄物知識に関する教育等を強化する必要があるかもしれませんね。

 


参考引用サイト:環境省「建設工事から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)」

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。