- ニュース解説
不法投棄のゴミから犯人は特定される!
今回は、不法投棄のニュースから、排出事業者が廃棄物管理において気を付けるべきポイントを伝えていきます。
不法投棄された廃棄物から犯人を特定!
札幌市の隣の当別町の町有地に、がれきなどを不法投棄したなどの疑いで、札幌市の会社員の男ら2人が逮捕されました。廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されたのは、札幌市手稲区の会社員のM容疑者50歳と、札幌市手稲区の会社役員、H容疑者43歳です。
M容疑者は今年5月上旬、当別町郊外にある町有地の空き地に、がれきや廃プラスチックなど約2.3トンを不法投棄した疑いが持たれています。 また、H容疑者は、産業廃棄物の処分する許可を受けていないM容疑者に、運搬と処分を委託した疑いがもたれています。
捨てられていたのは、リフォーム工事で発生した産業廃棄物とみられ、警察は廃棄された物を調べてH容疑者を特定し、今月16日午前、2人を逮捕しました。調べに対し2人は、容疑を認めているということで、警察は余罪についても調べています。不法投棄された廃棄物を調べて、排出事業者を特定し、運搬会社と共に逮捕されました。
出典:HBC北海道放送
この事件自体の不法投棄量は約2.3トンと大規模なものとは言えませんが、(量が少ないからといって罪が軽いわけでもありません)廃棄物の内容から犯人を特定し、逮捕まで至ったところに、不法投棄を許さない毅然とした姿勢が伺えます。
排出事業者責任を再確認
事件では、排出事業者が無許可の業者(個人?)に委託をしていました。この点では、排出事業者も違法であることが分かったうえで行っており、悪質といえます。(廃棄物処理法を全然知らずに違法と思わなかったという可能性もありますが、それはそれで大問題です)
無許可業者に委託していますから、おそらく委託契約書もマニフェストも無く引き渡していたのだと思います。それでは、逮捕されて当然と思います。しかし、適切(と思っている)な委託をしていても、不法投棄された場合は排出事業者に責任が問われます。
有名な事件は、青森・岩手県境不法投棄事件ですね。この事件では、冒頭の事件と同様に不法投棄された廃棄物から排出事業者が特定されました。不法投棄された廃棄物を処理するための拠出金が排出事業者に請求され、多額の費用負担を強いられています。
数多くの大手の排出事業者も拠出金を負担させられていて、排出事業者責任は委託して終わりではないことがよく分かります。大規模だからと思われるかもしれませんが、そうではありません。
冒頭の事件のように、大規模不法投棄事件でなくとも、不法投棄に対しては非常に厳しい取り締まりが行われました。そういった意味で、注目すべき事例ではないかと思います。
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。