- マニフェスト
電子マニフェストで手順は増える?
マニフェストを電子化し、効率的にマニフェストの発行・管理ができる電子マニフェストですが、紙マニフェストと全く同じことをインターネット上で行うわけではありません。
電子マニフェスト特有の手順があり、紙マニフェストしか使ったことのない方は、初めのうちは少々煩わしく感じるかもしれません。すでに電子マニフェストを導入済みの場合でも、担当者の変更時などには、手順を引き継ぐ必要があり、紙と電子の違いは必ず説明する必要があります。
特に最近では、テレワークや雇用調整などによって、一時的に担当者不在となった場合に電子マニフェストの使用方法が分からず、混乱するというケースが増えています。
今回は、電子マニフェスト特有の手順について、簡単にまとめていきます。
予約登録
電子マニフェストでは、事前に排出する廃棄物の内容に合わせたマニフェストを「予約登録」を使って登録しておきます。この「予約登録」は必須ではないのですが、殆どの排出事業者が使用していると思います。理由として、次に説明する「受渡確認票」の印刷に必要だからです。
「予約登録」の方法自体は決して難しくはありません。
メニューから、予約登録のボタンをクリックして、必要事項を入力していきます。排出後に、マニフェストを登録する際(本登録)は必須項目が赤く表示され、入力しないと登録ができないようになっていますが、予約登録の場合、必須項目はありません。現時点で分かっている内容をできる限り入力しておけばOKです。
殆どの排出事業者は「廃棄物の種類」「運搬業者」「処分業者」などの、契約書とリンクする項目を入力済みの「パターン」を登録しているので、基本的にはパターンを呼び出して、(決まっていれば)排出日を予定として入力して登録します。
手順としては簡単ですが、これをやっておくかどうかで、後々の手間が段違いです。
受渡確認票の印刷
予約登録の部分でも触れましたが、電子マニフェスト特有の手順のもう一つは「受渡確認票」です。これは、簡単に言えば予約登録の内容を印刷したものです。紙マニフェストの7枚複写とは違い、受渡確認票は通常、普通のコピー用紙に印刷します。
なぜ、受渡確認票が必要なのか?というと、産業廃棄物の運搬基準を満たすためです。
運搬基準は、主に「車両の表示」と「書面の携帯」があります。
この「書面の携帯」では、下記の内容を記載した書面を携帯しなければならないと定められているのです。
②当該産業廃棄物の運搬を委託した者の氏名又は名称
③運搬する産業廃棄物を積載した日並びに積載した事業場の名称及び連絡先
④運搬先の事業場の名称及び連絡先
この事項を記入した内容として、マニフェストの情報が手っ取り早いのです。なので、紙マニフェストはマニフェストそのものを、電子マニフェストでは予約情報から印刷した受渡確認票を使用するのが一般的です。
受渡確認票を印刷するためには、予約登録をしなければなりません。これが、ほとんどの排出事業者が予約登録をしている理由です。しかし、受渡確認票は運搬基準を満たすのに便利なのであって、使用は義務ではありません。同じ内容を、エクセル表などで作ってそれを印刷してもOKです。
でも、それはそれで面倒くさい…
結局、最終的に本登録するのなら予約の段階で入力しても大して手間は変わらないだろう!ということで、やはり受渡確認票の使用をお勧めします。(本登録時には、予約時に入力した項目は再度入力する必要はありません)
2つの手順ができていないと?
もし、担当者が不在の場合等に予約登録・受渡確認票の印刷ができていないと、どうなってしまうのでしょうか?
廃棄物の積み込みが終わり、ドライバーが「受渡確認票は?」となったタイミングで印刷できていないことが発覚すると、さあ大変です!
ドライバーは今すぐにでも出発したいのに、受渡確認票なしでは出発できない。その場に居合わせた人員では、何をしていいかよく分からない…考えたくない事態ですね。
実は、最近でも数件、こうしたトラブルのSOSコールが弊社にもありました。「担当者にもつながらず、電子マニフェストで調べたらイーバリューが出てきた」とお電話いただいたこともあります。
こうした事態に陥らないように、今回紹介した電子マニフェスト特有の手順は、必ず複数人で共有し、対応できるようにしておきましょう!
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。