「知らなかった!が通用しない廃棄物処理法」典型事例

「知らなかった!が通用しない廃棄物処理法」典型事例

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「知らなかった!」が通用しない廃棄物処理法典型事例

今回は不法投棄のニュースから、「知らなかった!」が通用しない典型事例をご紹介していきます。

廃棄物の不法投棄に「量」は関係ない!


「ゴミ箱だと思った」弁当の空き容器、ポストに捨てたイギリス人逮捕 (2021年3月22日)

神奈川県警鎌倉署は22日、イギリス国籍で鎌倉市、職業不詳の男(37)を廃棄物処理法違反(不法投棄)容疑で現行犯逮捕した。

発表では、男は同日午後2時20分頃、鎌倉市役所敷地内の郵便ポストに弁当の空き容器などを捨てた疑い。調べに対し、「ゴミ箱だと思った」などと話しているという。周辺では昨年12月以降、同様の被害が7件相次ぎ、相談を受けた同署員が警戒していた。

参考:読売新聞オンライン

こちらのニュース、色々と衝撃的ですよね?

ポストにゴミを捨てて、「ゴミ箱だと思った」というのは、さすがに苦しすぎる言い訳なのではないかと思ってしまいます。イギリス国籍だそうですが、ポストは英語でPOSTだったような…

さておき、この事例のポイントはしっかりと「廃棄物処理法違反(不法投棄)」容疑で現行犯逮捕されているところです。「知らなかった」も「少量なら」も通用しないと皆様に常日頃からお伝えしていますが、これらの言い訳が通用しないことが証明された事例ですね。皆様ご存知のこととは思いますが、廃棄物処理法上では不法投棄に量の規定がありません量の規定がないので、どんなに少量でも「みだりに捨てる」と不法投棄の罪が成立します。

不法投棄の個人に対する罪は「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこの併科」です。ちなみに、道路交通法では「酒酔い運転」が「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。懲役の年数は同じですが、罰金は不法投棄の方が10倍も多いです。それだけ、不法投棄の罪というのは重く見られているということですね。

両罰規定で会社にも責任が問われます

皆様も他人事では無いかもしれません。流石に、このコラムを読んでいただいている方々が、「知らなかった」で不法投棄してしまうとは思いませんが、会社には色々な方がいます。それこそ、外国出身で日本の文化、法律が分からないという場合もあるでしょうし、日本人でも、廃棄物処理法は分かりづらいですよね。

環境リスクを伝えていないと、「ちょっとくらいなら」と廃棄物を工場内に埋める社員が現れるかもしれません(もちろん違法です)。業務中に不法投棄をすれば、基本的に会社名とともに報道されてしまいますし、両罰規定によって会社の監督責任が問われる可能性もあります。

不法投棄の法人に対する罰則は「3億円以下の罰金」です。

一人でも環境リスクを把握していない従業員が要ることは、大きなリスクになることが分かります。「知らなかった」が通用しないので、常日頃から「お知らせ」していくしかないのです。

 

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。