コロナ禍で高まる環境教育のリスク?

コロナ禍で高まる環境教育のリスク?

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コロナ禍で高まる環境教育のリスク?

コロナの影響が依然として続く中で、社内教育の滞りが長期化している企業が多く存在します。

「環境の分野に限らず、集合研修が一切できなくなった」「教育予算が大幅に削られてしまった」という企業では、例年行われていた教育が全くできなくなってしまったといいます。

こういった状況について、皆さんはどう思われますか?
仕方のないことだったり、環境教育は1年や2年止まっていてもそれほど影響しないと思われていたりしませんか?
教育が十分にできないことに潜むリスクについて、認知されていますでしょうか?

環境教育のリスクが表出化すると?

例えば、過去に報道されたこれらのケースを見てみましょう。ある共通点が見えてくるはずです。

府港湾事務所 薬剤の2500リットル産廃 無許可業者に委託

京都府港湾事務所(舞鶴市)が2011年11月、重油の拡散を防ぐ薬剤を産業廃棄物として捨てる際、無許可業者に処分を委託していたことが1日までに分かった。業者はその後、許可を受けた滋賀県内の産廃業者に再委託し、処分自体は適正に行われたという。

●「法規定を知らず」
府によると、重油を固形化する備蓄の薬剤約2500リットルが古くなり、購入先の舞鶴市内のガソリン販売会社に処分を委託し、21万円の処分料を支払った。
産業廃棄物処理法では、産廃の処分時には都道府県知事の許可業者にしか委託できず、契約書の作成も義務づけられている。同社は許可を受けておらず、契約書もなかった。
府の定期監査で5月に無許可業者への委託が発覚。府中丹東保健所は6月、同事務所に是正指導した。

無許可委託や契約書未作成には罰則があり、環境省は「違法の可能性が高い」という。府港湾事務所のN次長は「担当職員が法の規定を知らなかった。再発防止に努めたい」としている。

京都新聞(2012年11月1日)より一部抜粋

廃材無許可処分で下請け業者ら逮捕 A社も書類送検

低価格住宅で知られる「A社」の住宅工事で出た廃材が、不法投棄されていたことが分かり、警視庁は下請け業者の社長ら3人を、廃棄物処理法違反の疑いで逮捕した。逮捕されたのは土木工事W社の社長と、下請け会社の社長と従業員1名。
容疑者らは、「A社」から委託された廃材、およそ17トンの処理を無許可で請け負った疑いが持たれている。廃材は私有地に違法に投棄されていたとみられ、警視庁が不法投棄の疑いでも捜査している。

「A社」は、建設コストを徹底的に省くことで、新築555万円などの低価格住宅も販売していて、投棄された廃材は、新築工事のために取り壊した中古住宅のものだった。処理を委託した「A社」の社長は、取材に対し、「注文住宅を建てるのに、中古住宅を解体しないと建てられない。ワークシェアリングそのものは、3年前、法改正する前から入っていますから。それでそのまま、安心して頼んでいたんじゃないかと思う。」と話した。
警視庁は、「A社」についても、業者が無許可でないか確認を怠った疑いで、近く書類送検し、不法投棄への関与についても慎重に調べる方針。

FNN(2014年11月10日)より一部抜粋

Tホテルの前社長、経費削減のため不法投棄で供述

松江市のTホテルで5月に起きた硫化水素騒ぎで、廃棄物処理法違反の疑いで逮捕されたTホテル前社長が、島根県警の調べに「経費削減のためのアイデアとして不法投棄を部下に示した」と供述していることが13日、分かった。
ホテル地下室に捨てられた廃材の石こうボードが硫化水素の発生源となった。「当時はあまり悪質とは思わず、敷地内に捨てれば問題ないと思った。」とも供述。県警は前社長が不法投棄を発案、主導したとみている。松江地検は14日、同罪で起訴する。

調べでは、前社長はホテルの新築工事中だった2004年10月から12月にかけ、同罪で起訴された部下のK被告らに不法投棄を容認する指示を出し、地下室に石こうボードなどの建築廃材系約30トンを投棄させた疑い。

共同通信(2008年11月13日)より一部抜粋

これらのケースに共通するのは、法律自体や、法改正を知らずに、「違法とは思わない行為」に対して、厳しく責任が問われたということです。

この他にも「知らなかった」ことが招いた不適正事例は、後を絶ちません。
こうした問題は平常時には特に問題と感じないのですが、実は見えていないだけでリスクは常に存在するのです。しかし、こうした”見えていないもの”を防ぐのは大変です。


廃棄物の管理担当を経由せず、実務現場から直接不適切な方法で排出されるケースもあることを考えると、全従業員が適切にリスクを把握しておく必要があります。

環境教育が、すぐには影響しないからこそ…

企業の環境教育は、本業の実務教育や安全教育などが優先され、後回しになりがちです。また、環境教育を行ったとしても一度では定着しないことも多いです。
実務教育はすぐに現場で実践することで定着していきますが、環境教育は一度聞いても知識が必要なシーンに直面する頻度が少なく、時間とともに記憶が曖昧になっていきます。

しかし、コンプライアンス違反のリスクを考えると絶対に必要な教育です。
最近では、テレワークや書類の電子化など、コロナの影響でITを活用した効率化が進んでいる部分も多いです。集合研修等が難しい今、Web会議システム等のITシステムと動画教材・動画コンテンツを活用した社員教育が期待されています。
対面式の教育を避けることが目的で始まったことではありますが、動画教育の場合、開催場所に移動する費用と時間も節約でき、繰り返し学べることが分かり、評価されるようになってきたのだと思います。

何度も繰り返し行うことが必要な環境分野においてこそ、動画教材を使った社員教育が活用できると思いますが、皆さんの職場ではいかがでしょうか?

 

Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー

セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。