- SDGs
バックキャスティング思考と意識の統一【シリーズSDGs-5】
前回は、安易にSDGsへの取り組みを紹介することで、上辺だけの対応「SDGsウォッシュ」とみなされてしまうリスクを紹介しました。コラム「SDGsウォッシュのリスクとは?【シリーズSDGs-4】」参照
では、どうすればウォッシュと言われずに、真っ当なSDGs活動ができるのでしょうか?
2030を徹底的に意識すること
SDGsの取り組みを検討する場合には、SDGs自体が、2030年に向けた目標であることを徹底的に意識しましょう。
くどいくらいに「2030年に向けて…」と繰り返し問いかけるのです。
SDGsが描く2030年のビジョンに、自社がどうコミットしていくのか?を考えていきます。
世界中が17個もある、様々なゴールに向けて活動しています。
そして、2030年までという長期スパンで考えているわけですから、現状の観点だけではどうしてもSDGsの持つ規模感とのギャップが生じてしまうのです。
なので、必ず2030年のビジョンを持つことが第一です。
バックキャスティング思考が基本
2030年に、自分たちがどうありたいか?をまず考えるというのは「バックキャスティング思考」という考え方です。
バックキャスティングとは、まず目標となる地点を設定し、そこから逆算して何をすべきかを考える方法です。
反対に、現状から積み上げていく考え方は「フォアキャスティング」と呼ばれます。
SDGsでは「バックキャスティング」が基本です。
そもそも、17のゴールがバックキャスティング的に考えられていますよね。
そのため、企業個別の目標も「バックキャスティング」で考える必要があるのです。
「2030年までに〇〇を達成する」という目標は、現状とのギャップが大きくて当たり前なので、この時点でウォッシュと言われることはありません。
条件は「本気」であること
闇雲に2030年の目標を立てれば良いというものではありません。
バックキャスティング思考の絶対条件として「本気であること」が上げられます。バックキャスティング思考はその特性上、高い目標を設定することが基本です。
しかし、「高いだけ」の目標では意味がありません。
例えば、皆さんの周りにも「今年は〇〇するぞ!」とお正月に立てた目標が1ヵ月と保たない人はいませんか?
1年という個人としては長いスパンで、かつ高い目標を掲げたということは、一種のバックキャスティングであると思います。
しかし、高すぎる目標をすぐに投げ出すというのは、そもそも目標設定の時点で本気ではなかった…現実逃避的な設定だったのではないかと思います。企業のSDGs活動も同様で、大きな目標を掲げたところで、本気度が伴わなければ現状の取り組み姿勢とのギャップが生じ、やはりマイナス評価に繋がります。
ともすれば高い目標は「広告的に掲げているだけ…」とみなされてしまうかもしれませんね。やはり、大前提「本気の取り組み姿勢」が必要です。
しかし、これが一番難しいかもしれませんね。
経営層から社員一人一人まで、SDGsに照らした自社の目標、戦略を理解して、文字通り一丸となって取り組まなければなりません。
社内での意識を統一していくことが、何よりも重要ですが、それ故に難易度が高いのです。
裏を返せば、会社全体がSDGsの必要性を理解し、腹落ちした状態になれば、自然と成功に向かっていくのではないでしょうか?
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。