- SDGs
SDGsをなぜ企業は取り組む必要があるか?【シリーズSDGs-2】
前回のコラムでSDGsとは、「世界がバランスを保ちながら発展していく為の目標」であることを紹介しました。コラム「SDGsって何?何が必要なの?【シリーズSDGs-1】」参照
では実際、企業はSDGsに取り組んでいくべきなのでしょうか?今回は、企業がSDGsに取り組む必要性についてご紹介していきます。
SDGsは面倒?
前回のコラムを読んでいただき、「世界にはSDGsが必要なんだ!会社全体で取り組んでいこう!!」となりましたでしょうか?なった場合はどうぞそのままでお願いします^^ 一方、「必要なのは分かったけど、実際問題SDGsに取り組むとなると、なかなか面倒だなぁ」という声が上がりがちというのも事実です。
例えば、「12:つくる責任 つかう責任」の中には、「12.2:2030年までに天然資源の
持続可能な管理及び効率的な利用を達成する」があります。
これに取り組もう!となれば、使用する原材料や、燃料等の見直しをしなければなら
なくなるかもしれません。 さらには、その結果として「原価アップ」になってしまう
可能性も十分にあります。
そうです。SDGsは今現在の経済活動にとってデメリットに見えるような目標もあるのです。なぜなら、世界のバランスを取りながら成長していくわけですから、経済一辺倒では通用しないわけですね。「SDGsをやっていて、競争力がなくなっては本末転倒だ…」と考えてしまうかもしれません。
SDGsに取り組まない方が得なのか?
では、SDGsに取り組まずに価格優位性を高めて競合を出し抜いた方がいいのでしょうか?
答えはNO!!です。一つ、過去のケースに学んでみましょう。
過去にSDGsのように、「世界規模で取り組むことが決まった目標」は何か思いつきませんか?
「地球温暖化対策」が最もわかりやすい例ではないでしょうか?
1997年の「京都議定書」で「温室効果ガスを2008年から2012年の間に、1990年比で約5%削減すること」と決まりました。これを多くの国が目標として取り組んだわけですね。(日本は当時7%削減目標)
その後、様々な経緯を経て、「パリ協定」が現在の温暖化対策に関する枠組みです。では、京都議定書以降、「CO2排出量なんて気にしない!」という企業がいた場合、どうなっていたでしょうか?
例えば、「排気ガス対策なんてコストのかかる技術にはお金をかけません!」という自動車メーカーがあったとしたら…競合他社を出し抜いて、覇権を握っていたと思われますか?直感的に『それはないな。』と思われますよね。
むしろ近年の自動車は燃費や低排出ガス性能などを競っています。エコカー減税など、優遇策も実施されました。そもそも、環境負荷が高いクルマは規制されてしまうという事実もあります。
東京都が条例によって基準を満たさないディーゼル車の乗り入れを禁止したことは、
当時大きなニュースになりました。
顧客のニーズや法整備によって、エコカーに有利な市場が作り出されたのですね。
同じことがSDGsでも間違いなく起こると思います。むしろ、各分野で既に起こり
つつあります。「8:働きがいも経済成長も」は「働き方改革」に関する法整備が
進んでいますね。
その他にも周囲を見渡してみると、明確にSDGsとは言ってはいませんが、SDGsの方針に沿った変化が起こっているはずです。
SDGsの取り組みが企業価値に
さらに、SDGsの取り組みは、投資家が企業の価値を図る指標になっているという側面もあるようです。かねてより、IR情報と並んで、「環境報告書」などを公開している企業は多いですが、こうした情報公開もSDGsを意識したものに変わっていくでしょう。ESG投資という言葉もあります。
Environment(環境)Social(社会)Governance(ガバナンス)の頭文字で、「環境や社会に対する取り組みをしていて、ガバナンスがしっかりしている企業に投資する。」という考え方ですね。
SDGsは企業視点の生き残り戦略にもなる
このように、SDGsの大きな流れの中で、取り残されてしまう企業は長期的に衰退してしまうかもしれません。一方で、早期から積極的に取り組んでおけば将来のリスクを減らし、バランスの取れた企業経営を実現する指標として使えるかもしれませんね。
まずは、「取り組むに越したことはない」と考えて、検討してみてはいかがでしょうか?次回は「まずは自社の状況を把握しよう」をお送りします。
Takeshi Sato 環境情報ソリューショングループ マネージャー
セミナーインストラクターとして、数々のセミナーを担当。オンラインセミナーの実施やeラーニングシステムを使った動画コンテンツの制作にも注力する。コンテンツの企画から講師までを一貫して手掛け、通年80回以上の講師実績を持つ。 また、イーバリューの法令判断担当として、クライアントの法解釈に関する質問や相談に対応。対応件数は年間約1,000件に上る。法令知識だけでなく、省庁や管轄自治体等の行政への聞き取り調査も日常的に行っており、効果的な行政対応のノウハウを持つ。