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産業廃棄物の品目の判断基準
廃棄物の品目判断ついての問い合わせをよくいただきます。
自社から排出される廃棄物が、法律で定められた20種類のどれに該当するか?明確に判断できないケースも多いようです。
特に、複数の品目が合わさったような物に関しては、どの程度の量ならばひとつの品目として数えなければならないのか?曖昧なところです。
しかし、もし廃棄物の品目の判断基準を誤れば、知らないうちに違反を起こしてしまう可能性があります。
今回は実際に起きた事件と一緒に、廃棄物の品目判断基準について考えてみましょう。
無許可業者に委託してしまうリスク
実際に起きたケースをご紹介します。
排出事業者が、無許可業者へ委託をしたとみなされて書類送検された事件です。
排出事業者は、金属が付着した耐火レンガをガラス陶磁器くずとして処理委託していました。
付着した金属は、特に品目として考慮せず、契約書やマニフェストは「ガラス陶磁器くず」単品としていたのです。しかし、後に金属くずとガラス陶磁器くずの混合物であると指摘され、処理業者に金属くずの許可がなかったために、無許可業者への委託とみなされてしまいました。
担当者は、金属が付着していることは認識しましたが、「少量だから」という理由で、ガラス陶磁器くず単品と判断したのかもしれません。今回のケースでは、金属がどの程度付着していると混合物として取り扱わないといけないのか? という基準が重要です。どのようにして判断すれば良いのでしょうか?どれだけ少量でも、無視してはいけないのでしょうか?
汚泥と廃油の5%ルールはあくまで参考に
混合物の基準として、油分5%の基準が有名です。
この5%ルールは、以下の通知文が元になっています。タイトルはズバリ「油分を含むでい状物の取扱いについて」です。(昭和51年11月18日 環水企181・環産17)
(1) 油分をおおむね五パーセント以上含むでい状物は汚でいと廃油の混合物として取扱うこと。
石油類のタンク又は廃油貯留槽の底部にたまったでい状物、廃油処理又は油の糖製に使用した廃白土、廃油処理のための遠心分離施設から生ずるでい状物等は通常これに該当する。
汚泥に5%程度の廃油が混ざったら、両方の許可を持つ業者に委託しなければならない。という判断が下されているわけです。この通知から、混ざったものに関しては大体5%が判断基準と考える方も多くいらっしゃいます。
しかし、容易に混合比率が分かるものばかりではないので、「大体このくらいが基準」という通説が出来上がっているものもあります。
例えば、ウエスや軍手などに油分が付着していることがよくあります。これらに関しては油が滴り落ちるほど染み込んでいる場合に、混合物として扱うという指導がする自治体が多いようです。
参考:大阪府HP
その他、家電製品は廃プラスチックと金属くず(物によってガラスクズ)の混合廃棄物と言えます。
処分方法から影響を考える
以上の通り、品目判断の明確な基準は実は存在しないのです。基準がないから、判断が難しいのですね。
もちろん、基準が無いから自己流で良いということにはなりません。
「○○の扱いでいいと思っていた」「少しだから大丈夫だろう」といった甘い判断はリスクが大きいです。
ひとつの考え方として、「処分するときにどの程度影響があるか?」と考えてみると良いかもしれません。
木くずを焼却処理する際に、紙くずが少量混ざっていたら?
正直、大きな影響はなさそうです。
廃プラスチックを破砕処理する際に、バッテリーが混ざっていたら?
火災の原因になります。必ず分別してください。
処分方法の観点では、特に埋立処分には注意が必要です。
最終処分場とも呼ばれますが、その名の通り埋めたら最後、取り返しが付きません。
許可を受けて処理可能な品目以外のものが混入すれば、処分場全体が汚染されてしまう可能性があります。
結局、明確な基準はなし?
ここまで考えてみても、結局はケースバイケースで、明確な基準が無いことがわかりました。
結局は、少しでも迷った時点で、「混合物となる可能性がある」と判断し、自治体等に確認をすることが、一番確実です。
品目判断が変われば、許可証の確認だけでなく、契約書やマニフェストの内容も変更が必要な場合があります。
このコラムを読んで、「そういえばあの廃棄物は大丈夫か?」と疑問に思われた方は早めに確認しておきましょう。
Keisuke Yoshida 環境コンサルティング事業部
名城大学、経済学部、経済学科を卒業。 東海野球連盟の1部リーグに所属していた準硬式野球部に入部。2年生の春季リーグでベンチ入りをするも登板できなかった悔しさから練習に励み、3年生時には投手キャプテンを務める。 現在は採用担当として説明会の運営を行ったり、HPのコラム等を活用したお客様への情報発信を主に行う。